世界でハシビロコウに会える場所は?野生のアフリカと世界の動物園、何羽いるか
ハシビロコウに会える場所は、世界でもそう多くありません。野生はアフリカの湿地だけ、動物園は世界で20施設ほどです(2026年10月時点)。
あらすじ
この記事では、次の13項目を順に説明します。
- ハシビロコウに会える場所は世界のどこ?
- 世界にハシビロコウは何羽いる?
- 世界の動物園でハシビロコウに会える国は?
- 野生のハシビロコウに会える国は?
- ヨーロッパでハシビロコウに会える場所は?
- アジアでハシビロコウに会える場所は?
ほか7項目は下の目次から。
目次
この情報は2026年10月23日に、各施設の公式サイト・保護団体の資料・論文・各国の政府の情報で確かめたものです。ハシビロコウは繁殖などのために施設を移ることがあります。出かける前に、必ず公式情報を確認してください。「見つからなかった」は、探した範囲で見つからなかったという意味です。
ハシビロコウに会える場所は世界のどこ?
野生ならアフリカ中東部の湿地、動物園なら世界で20施設ほどです。そのうち8施設は日本にあります(2026年10月時点)。
会える場所は、大きく2つに分かれます。ひとつは、野生のハシビロコウがすむアフリカの湿地です。もうひとつは、世界の動物園や鳥類園です。
| 地域 | 会える場所 | ひとこと |
|---|---|---|
| アフリカ | 野生(ウガンダ・ザンビア・ルワンダなど)/ウガンダの保全教育センター | 野生に会えるのはアフリカだけ |
| 日本 | 8施設・15羽 | 世界の施設のおよそ4割 |
| ヨーロッパ | 5施設(チェコ・ベルギー・ドイツ・イギリス・ロシア) | 世界で初めてヒナがかえった |
| 北アメリカ | 2施設(アメリカ) | 北米で初めてのヒナはタンパ |
| アジア(日本以外) | 2施設(シンガポール・韓国) | 中国本土では見つからなかった |
| 南アメリカ・オセアニア | 見つからなかった | なし |
ポイントはここです。野生のハシビロコウに会えるのはアフリカだけで、動物園で会える国も10か国ほどです。
世界にハシビロコウは何羽いる?
野生のハシビロコウは、ヒナや若鳥を合わせて5,000〜8,000羽と推定されています。そのうち大人は3,300〜5,300羽です。
これは、BirdLife International(世界の鳥を調べて守る団体)の2018年の評価による数です。世界のハシビロコウの50〜80%は、南スーダンにいるとされます。
動物園のハシビロコウの数を、世界でまとめて数えた公式の資料は見つかりませんでした。施設や報道が出した数を、いつの数かと一緒に並べます。
| 地域 | 羽数 | いつの数か | 出どころ |
|---|---|---|---|
| 日本 | 15羽 | 2026年10月 | 各園の公式 |
| ヨーロッパ(ロシアを除く) | 8羽(オス3・メス5) | 2025年3月 | プラハ動物園 |
| ロシア | 2羽(若いペア) | 2024年6月 | モスクワの報道 |
| アメリカ | 4羽 | 2021年3月 | タンパの地元テレビ |
| 韓国 | 1羽 | 2026年9月 | 韓国の地元紙 |
| シンガポール | 公開されていない | なし | なし |
分かっている数を足すと、約30羽です。2010年には、プラハ動物園の園長が「世界の飼育は約40羽」と話していました(チェコのラジオの報道)。
野生の数と比べると、動物園にいるのはほんのひと握りです。約30羽を合わせても、野生の全体(5,000〜8,000羽)の1%に届きません(計算した値)。
野生の数は、2000年代の調査がもとになっています。くわしくはハシビロコウは絶滅危惧種で紹介しています。
世界の動物園でハシビロコウに会える国は?
2026年10月時点で、公式の情報で確かめられた施設は次のとおりです。
| 国 | 施設 | ひとこと |
|---|---|---|
| 日本 | 上野動物園など8施設 | 日本の動物園にまとめています |
| チェコ | プラハ動物園 | 2ペア。どちらも野生生まれで、2004年に来園 |
| ベルギー | パイリ・ダイザ | 2008年に世界で初めてヒナがかえった |
| ドイツ | ヴァルスローデ世界鳥類公園 | メス1羽 |
| イギリス | エクスムーア動物園 | 2008年生まれのメス、アブー |
| ロシア | モスクワ動物園 | 2024年にロシアで初めて公開 |
| アメリカ | ズータンパ | 北米で初めてヒナがかえった |
| アメリカ | ダラス・ワールド・アクアリウム | 水族館と動物園がひとつになった施設 |
| シンガポール | バード・パラダイス | 東南アジアで見つかったのはここだけ |
| 韓国 | 泗川アラマル水族館 | オスのビル1羽 |
| ウガンダ | ウガンダ野生生物保全教育センター(UWEC) | 2026年に施設で初めての卵 |
国ごとのくわしい話は、地域のページにまとめています。
野生のハシビロコウに会える国は?
観光で会いに行きやすいのは、ウガンダ・ザンビア・ルワンダです。いちばん多くすむ南スーダンには、各国の政府が渡航を止めるよう呼びかけています。
| 国 | 場所 | 見方 |
|---|---|---|
| ウガンダ | マバンバ湿地 | 地元のガイドがこぐ舟 |
| ウガンダ | マーチソン・フォールズ国立公園 | ナイル川を下るボート |
| ザンビア | バングウェウル湿地 | ボートや丸木舟 |
| ルワンダ | アカゲラ国立公園 | 湿地の奥にいる。会えるとは限らない |
| 南スーダン | スッド湿地 | 観光の行き先としては紹介しない |
行き方の目安や季節はアフリカで野生のハシビロコウに会うにまとめています。
ヨーロッパでハシビロコウに会える場所は?
ヨーロッパでは、5か国の5施設で会えます。プラハ動物園の発表(2025年3月)では、ロシアを除くヨーロッパの飼育は8羽です。
プラハ動物園の2ペアは、どちらも野生生まれで、2004年にやって来ました。ベルギーのパイリ・ダイザでは、2008年に世界で初めて飼育下でヒナがかえりました。イギリスのエクスムーア動物園のアブーは、両親がパイリ・ダイザで暮らしています。
パイリ・ダイザでハシビロコウを見られるのは、5月中旬から9月までです。モスクワ動物園の展示場には、夏用と冬用の区画と、赤外線のヒーターがあります。
ここからはコウくんの推測です。ハシビロコウのふるさとは、南スーダンからザンビアにかけての、赤道に近い湿地です。ヨーロッパの施設では、見られる季節を区切ったり、ヒーターを使ったりしています。冬の寒さへの備えが、寒い国で飼うときの大事な点なのかもしれません。
くわしくはヨーロッパでハシビロコウに会える動物園へ。
アジアでハシビロコウに会える場所は?
日本の8施設、シンガポールのバード・パラダイス、韓国の泗川アラマル水族館です(2026年10月時点)。中国本土・台湾・香港では見つかりませんでした。
日本では、8施設で15羽が暮らしています。上野動物園(東京都)、神戸どうぶつ王国(兵庫県)、掛川花鳥園(静岡県)などです。
シンガポールのバード・パラダイスは、2023年に開いた鳥類園です。ハシビロコウは、アフリカの鳥を集めた「ハート・オブ・アフリカ」のエリアにいます。このエリアは最大の鳥舎で、広さは1.55haです。
2006年生まれのゼインは、公式の人気投票で「置物とまちがわれるほど動かない」と紹介されています。韓国では、オスのビルが1羽だけ暮らしています。
くわしくはアジアでハシビロコウに会える場所と中国でハシビロコウは見られる?へ。
南北アメリカとオセアニアで会える場所は?
南北アメリカで会えるのは、アメリカの2施設だけです。オセアニアでは見つかりませんでした。
2施設は、フロリダ州タンパのズータンパと、テキサス州ダラスのダラス・ワールド・アクアリウムです。どちらも2026年10月に、公式サイトの動物の紹介にハシビロコウが載っていました。
カナダ・メキシコ・南アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドでは、飼育している施設は見つかりませんでした。くわしくはアメリカでハシビロコウに会える動物園へ。
世界の動物園のハシビロコウの歴史は?
公式の資料や報道で年を確かめられた出来事を、古い順に並べます。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1971年 | 伊豆シャボテン動物公園(静岡県)にビルが来る。2020年まで暮らした |
| 1980年代 | アメリカのサンディエゴの施設で飼育が始まる |
| 1995年 | シンガポールのジュロン・バードパークで初めて展示 |
| 2004年 | プラハ動物園に、野生生まれの2ペアが来る |
| 2006年 | ズータンパに、タンザニアから4羽が来る |
| 2008年 | ベルギーのパイリ・ダイザで、世界で初めて飼育下でヒナがかえる |
| 2009年 | ズータンパで北米初のヒナ。世界で2例目 |
| 2016年 | 韓国の固城(コソン)の恐竜エキスポで、韓国で初めて展示 |
| 2018年 | シンガポールに、カタールからペアが来る |
| 2024年 | モスクワ動物園が、ロシアで初めての展示場を公開 |
| 2025年 | 神戸どうぶつ王国に、コンゴ民主共和国から若いペアが来る |
| 2026年 | ウガンダのUWECで、施設で初めての卵 |
伊豆シャボテン動物公園のビルは、推定50歳以上で死にました。死んだあとに、メスだったと分かりました。
動物園でヒナがかえった例は世界にいくつある?
探した範囲では、2例です。2008年のベルギーのパイリ・ダイザ(2羽)と、2009年のアメリカのズータンパ(1羽)です。
ズータンパは、ヒナを育てるあいだ、パイリ・ダイザと連絡を取り合いました。北アメリカでいちばん長くハシビロコウを飼うサンディエゴの施設からも、助言を受けています。
アフリカでも動きがあります。ザンビアのバングウェウル湿地には、2022年に卵とヒナを育てる施設ができ、3羽がかえりました。ウガンダのUWECでは、2026年3月に施設で初めての卵が温められていました。かえったかどうかは、見つかりませんでした。
日本では、上野動物園・千葉市動物公園・神戸どうぶつ王国が繁殖をめざしています(2026年10月時点)。
ここからはコウくんの推測です。ズータンパは、世界で初めて成功したベルギーの施設と連絡を取りながら、ヒナを育てました。成功した例が少ないぶん、国をこえて経験を分け合うことが、次の繁殖の大きな力になるのかもしれません。
くわしくはハシビロコウの繁殖へ。
ハシビロコウに会える場所が少ないのはなぜ?
野生の数が少なく、国をまたいで動かすには許可がいるからです。動物園で生まれた例も、まだ数えるほどしかありません。
- ワシントン条約(野生の動植物の国際取引を決める条約)の附属書IIに、1987年10月から入っている。輸出には輸出国の許可がいる
- 野生の大人は3,300〜5,300羽。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは危急種(VU)
- 野生では、1羽ずつなわばりをもって暮らす(上野動物園の説明)
- 飼育下でヒナがかえった例は、探した範囲で2例
繁殖のために、施設のあいだを移ることもあります。上野動物園のミリーとハトゥーウェは、繁殖のため非公開の施設へ移る予定です。10月26日の予定でしたが、10月23日に延期が発表され、日は未定です(2026年10月23日時点)。
「世界一動かない鳥」と呼ばれるのはなぜ?
獲物を待つあいだ、長い時間じっと立っているからです。ただし、動かない時間を世界の鳥で比べた記録は見つかりませんでした。
ダラス・ワールド・アクアリウムの解説では、ハシビロコウは長い時間じっと待ちます。そして、1秒もかからない速さで獲物に倒れこみます。
シンガポールのゼインも、来園者に置物とまちがわれるほど動かないと紹介されています。動かない理由はハシビロコウはなぜ動かない?で紹介しています。
世界のハシビロコウに会いに行く前に確かめることは?
施設の公式情報と、自分の国の政府が出す渡航情報です。羽数や展示は、ときどき変わります。
- 展示の時期:パイリ・ダイザは5月中旬〜9月。千葉市動物公園は2028年春ごろまで展示を休む
- 屋内と屋外を行き来する施設では、見えない日もある
- 野生を見に行くときは、日本の外務省だけでなく、自分の国の政府の渡航情報を見る(例:イギリス政府は南スーダン全土への渡航を止めるよう呼びかけている)
- 料金・営業時間は、各施設の公式サイトで確かめる
出典
- BirdLife International:Shoebill の種の解説(2018年の評価。推定数・南スーダンの割合)
- IUCN レッドリスト:Balaeniceps rex
- プラハ動物園:ハシビロコウ(2025年3月。ヨーロッパの8羽・2004年の来園)
- ラジオ・プラハ:プラハ動物園「鳥の湿地」の公開(2010年。世界の飼育は約40羽)
- パイリ・ダイザ:ハシビロコウ(2008年の世界初のふ化・見られる時期)
- エクスムーア動物園:ハシビロコウ
- ヴァルスローデ世界鳥類公園:ハシビロコウ
- モスクワ24:モスクワ動物園の展示場公開(2024年6月)
- ズータンパ:動物の一覧
- Killmar(2010):タンパ・ローリーパーク動物園での北米初のふ化(AFA Watchbird 誌)
- FOX13:ズータンパのハシビロコウが再び公開(2021年3月)
- ダラス・ワールド・アクアリウム:ハシビロコウ
- バード・パラダイス:ハシビロコウ
- Mandai:25 Stars of Mandai のゼイン
- Mandai:バード・パラダイスの開園(2023年。ハート・オブ・アフリカの広さ)
- Mandai:2018年のペア来園と1995年の初展示
- 泗川アラマル水族館:ハシビロコウの紹介
- 慶南道民日報:韓国でただ1羽のハシビロコウ(2026年9月30日)
- ソウル新聞:韓国初のハシビロコウ展示(2016年)
- 伊豆シャボテン動物公園:ハシビロコウのビルについて(PDF)
- 神戸どうぶつ王国:新たなハシビロコウがやってきた(2025年6月)
- ウガンダ野生生物公社:UWEC のハシビロコウの卵(2026年3月)
- African Parks:Incubating a Future in Bangweulu(3羽のふ化)
- 恩賜上野動物園:ハシビロコウの非公開施設への移動について(2026年10月23日に延期を発表)
- 千葉市動物公園:ハシビロコウの展示休止について(2026年)
- Species+(ワシントン条約の掲載の記録):Balaeniceps rex
- イギリス政府(FCDO):南スーダンの渡航情報
