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ハシビロコウが動かない理由は?何時間も動かないのは本当?

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ハシビロコウが動かない理由は、怠けているからではありません。魚に気づかれないように、狩りのために待っているのです。

あらすじ

この記事では、次の13項目を順に説明します。

  1. ハシビロコウが動かない理由は?
  2. ハシビロコウはどれくらい動かない?
  3. ハシビロコウは何時間も動かないのは本当?
  4. ハシビロコウは夜も動かない?
  5. ハシビロコウが動かないと何が得なの?
  6. ハシビロコウはどこで動かずに待っている?

ほか7項目は下の目次から。

草の前で、くちばしを下に向けてじっと立つハシビロコウ
草の前で、くちばしを下に向けてじっと立つハシビロコウ写真: Wiemann / Pixabay Content License
目次
  1. ハシビロコウが動かない理由は?
  2. ハシビロコウはどれくらい動かない?
  3. ハシビロコウは何時間も動かないのは本当?
  4. ハシビロコウは夜も動かない?
  5. ハシビロコウが動かないと何が得なの?
  6. ハシビロコウはどこで動かずに待っている?
  7. 子育て中のハシビロコウも動かない?
  8. 動かない狩りをするのはハシビロコウだけ?
  9. 動かないハシビロコウが動くのはどんなとき?
  10. 動物園のハシビロコウも動かない?
  11. 野生で動かないハシビロコウを見られる場所は?
  12. 動かないハシビロコウを楽しむ見方は?
  13. 出典

ハシビロコウが動かない理由は?

獲物の魚に気づかれずに、近くへ来るのを待つためです。ハシビロコウは「待ちぶせ型」の狩りをする鳥です。

待ちぶせ型の狩りとは、自分から追いかけず、獲物が近づくのをじっと待つやり方です。1979年の研究は、ハシビロコウを「座って待つ捕食者(sit-and-wait predator)」と表しています。

上野動物園と神戸どうぶつ王国も、動きが少ないのは待ちぶせの狩りをするからだと説明しています。神戸どうぶつ王国は、しばしば彫像のように動きを止めるので「動かない鳥」として知られる、と紹介しています。

好物の肺魚(ハイギョ)は、ときどき水面に出て空気を吸う魚です。2026年3月には、那須どうぶつ王国の園長も、肺魚が息つぎに上がってくるのを待っているのだと説明しました(下野新聞)。その一瞬を、じっと待っているのです。

ポイントはここです。動かないことは、ハシビロコウにとって狩りの技なのです。

ハシビロコウはどれくらい動かない?

野生では、時間の85%を、立つ・羽づくろい・座るといった体力をあまり使わない行動に使っていました。

調べたのは、アフリカ南部のザンビアにあるバングウェウル湿地です。研究者は野生のハシビロコウを、合計170.1時間観察しました(2015年発表)。

行動時間の割合
立つ・羽づくろい・座る85%
歩く14%
飛ぶ1%

たとえば12時間見ていたとすると、約10時間は立つ・羽づくろい・座る、約1時間40分は歩く、飛ぶのは7分ほどという計算です。

同じ研究では、狩りのペースも数えています。

狩りの記録結果
くちばしを突っこむ平均で約2.2時間に1回
獲物を捕まえる平均で約8.3時間に1匹
繁殖期以外の成功70回中16回
繁殖期の成功7回中5回(観察が短く、数は少ない)

捕まえるのは、8時間あまりに1匹です。ほとんどの時間を、待つことに使っているのが分かります。

85% じっと立つ・羽づくろい:85% それ以外(歩く・狩りなど):15% 獲物が捕れるのは平均で約8時間に1匹
図:ハシビロコウの1日の使い方(ザンビアの湿地で170時間観察)

ハシビロコウは何時間も動かないのは本当?

長い時間じっと立つのは本当です。ただ、1回に何時間動かないかを測った数字は、探した範囲では見つかりませんでした。

ダラス・ワールド・アクアリウム(アメリカの動物展示施設)は、ハシビロコウを「長い時間じっと立ち、獲物に倒れこむ」鳥と紹介しています。2016年の論文も、狩りのときの置物のようなふるまいで知られる鳥だと書いています。

ザンビアの研究の「約2.2時間に1回」は、くちばしを突っこむ間隔の平均です。その間ずっと止まっているわけではありません。歩く時間も、全体の14%ありました。

「何時間も動かない」は、たくさんの人が見て感じた姿を表した言葉です。正確な時間は、これからの観察を待つことになります。

ハシビロコウは夜も動かない?

夜の行動は、よく分かっていません。資料によって説明が違います。

  • ミシガン大学の動物図鑑:昼に、なわばりの上空を舞う姿がよく見られると説明
  • ダラス・ワールド・アクアリウム:一部は夜にも活動すると紹介。ふだんの動きはゆっくりだが、飛ぶ力は強いとも書いている

ザンビアの研究も、昼の湿地で鳥を追いかけて記録したものです。暗い湿地で1羽を見つづけるのは、とても難しいことです。休むときの姿勢など、分かっていることはハシビロコウの寝方にまとめています。

ハシビロコウが動かないと何が得なの?

魚に気づかれにくくなることと、体力を使わずに済むことです。

ハシビロコウの攻撃は一瞬です。ダラス・ワールド・アクアリウムによると、獲物に倒れこむ動きは、ふつう1秒もかかりません。

その代わり、倒れこんだあとは、すぐに2回目の攻撃ができません。ミシガン大学の動物図鑑(Animal Diversity Web)によると、体を起こして、立った姿勢からやり直す必要があります。

つまり、チャンスは1回ずつです。じっと待って、ここぞというときにだけ動くのが、ハシビロコウのやり方です。

じっとしている間も、休んでいるだけではありません。ミシガン大学の動物図鑑によると、狩りで主に使うのは目と耳です。くちばしを胸につけるように下げるのは、両目で前を見て、距離をはかりやすくするためと考えられています。目のことはハシビロコウの目で紹介しています。

コウくん

ここからはコウくんの推測です。時間の85%を休みに近い行動で過ごすなら、使うカロリーは少なくて済むのかもしれません。8時間あまりに1匹しか捕れなくても暮らしていけるのは、そのおかげなのかも。動かないのは、狩りの技であり、節約の技でもあるのかもしれません。

ハシビロコウはどこで動かずに待っている?

浅い水辺や、水に浮いた植物の上です。背の高い草が体をかくしてくれる場所を好みます。

ミシガン大学の動物図鑑によると、狩りにいちばん向くのは、浅い水と背の高い草がある場所です。水が深い場所では、しっかりした浮き草の上に立って狩りをします。

酸素の少ない水も、大事な条件です。酸素が少ないと、魚は息をするために水面へよく出てきます。

湿地にたたずむ野生のハシビロコウ(ウガンダ・マバンバ湿地)
湿地にたたずむ野生のハシビロコウ(ウガンダ・マバンバ湿地)写真: Sjoerdug / CC BY-SA 4.0

バングウェウル湿地では、雨季はふつう12月から5月までです。3〜5月に水が最も広がり、6月の終わりには水が引きはじめます。湿地の姿は、季節で大きく変わります。

待つ場所によって、捕れる数も違いました。ザンビアの研究では、1時間あたりに捕まえた獲物の数を比べています。

  • 水につかった草原:1時間あたり0.29匹
  • 浮き草の上:1時間あたり0.10匹

水につかった草原のほうが、3倍近く捕りやすいという結果です。くわしくはハシビロコウの狩りで紹介しています。

長い指で浮き草の上に立つ足のつくりは、ハシビロコウの足で紹介しています。湿地のようすはハシビロコウの湿地帯をどうぞ。

子育て中のハシビロコウも動かない?

子育ての時期は、巣を守りながら、水や餌を運ぶ仕事が加わります。

ザンビアのバングウェウル湿地では、巣での親の行動を調べた研究も行われました(2015年発表)。

子育ての記録内容
親が巣のそばにいる時期ヒナが生まれてから約40日間は、ほとんど離れない
巣を離れる理由ヒナを冷やすための水や、巣の材料を取りに行く
巣に獲物を運ぶ回数1日に約1.2回
繁殖期の狩りの成功7回中5回(採食の研究。観察は17.7時間と短い)

暑い日に水を運んで巣を冷やすようすは、ハシビロコウの暑さ対策で紹介しています。

コウくん

ここからはコウくんの推測です。繁殖期の狩りは7回中5回と、成功の割合が高く出ていました。ヒナのために、ふだんより確かなチャンスだけを選んで突っこんでいるのかもしれません。観察の時間が短いので、まだ「かも」の話です。

動かない狩りをするのはハシビロコウだけ?

ほかにもいます。サギの仲間にも、水の中でじっと立って獲物を待つ鳥がいます。

鳥狩りのしかた
ハシビロコウ立って待つか、ゆっくり歩く。見つけたら体ごと倒れこむ
アオサギ浅い水でじっと立って待つ。深い場所では、片足で長く待つこともある
ゴライアスサギ世界最大のサギ。長い脚で水に立ち、獲物が近づくのを待つ
モモイロペリカン最大20羽ほどの群れでV字に並び、魚を追いこんですくう

説明はどれも、ミシガン大学の動物図鑑によります。待ちぶせ自体は、水辺の鳥ではめずらしくありません。

ハシビロコウの特ちょうは、時間の85%を休みに近い行動で過ごすことと、体ごと倒れこむ大きな一撃です。仲間の鳥との違いはハシビロコウとコウノトリの違いでも紹介しています。

動かないハシビロコウが動くのはどんなとき?

狩りのほかにも、あいさつ、体を冷やすとき、飛ぶときなどに動きます。

  • 獲物を見つけて倒れこむとき(ハシビロコウの狩り)
  • くちばしをカタカタ鳴らすクラッタリングや、お辞儀のあいさつ(鳴き声・お辞儀)
  • 暑い日に、のどをふるわせて体を冷やすとき(暑さ対策)
  • 羽づくろいをするとき
  • 飛び立つとき(ハシビロコウは飛ぶ?)

ザンビアでは、水浴びの記録もあります。2015年6月28日の正午すぎ、1羽が水たまりに入りました。頭も体も水にもぐらせ、約3分間水浴びを続けたと報告されています。

羽づくろいをするハシビロコウの横顔
羽づくろいをするハシビロコウの横顔写真: Olaf Oliviero Riemer / CC BY-SA 3.0

動物園のハシビロコウも動かない?

動物園でも、動きの少ない鳥です。ただ、時間帯や施設によっては、よく動く姿も見られます。

施設公式・報道で紹介されている姿
上野動物園(東京)ときどきまばたきや羽づくろいをし、飛ぶこともある。給餌のあとの朝は、歩いたり翼を広げたりする姿が見られることがある
神戸どうぶつ王国(兵庫)池の中を歩く、展示場を旋回して飛ぶ、巣の材料を運ぶ
那須どうぶつ王国(栃木)ボンゴは比較的よく動く。朝に扉を開けると外へ出てきて、夕方は扉の前で待つ

神戸どうぶつ王国の展示場「Big bill」は、2021年4月に公開されました。広さは1,625㎡(テニスコート約6面分)で、池やパピルスがあり、雨季と乾季を作る人工降雨の設備もあります。広い場所では、動く姿も見やすくなります。

展示の状況は2026年10月時点の情報です。上野動物園は、2羽を繁殖のため非公開の施設へ移す予定です。10月26日の予定でしたが延期になり、日は未定です。移動の日は事前に案内されないことがあるので、出かける前に、公式情報を確認してください。

コウくん

ここからはコウくんの推測です。上野では、給餌のあとの朝に動く姿が見られることがあるそうです。野生で動かないのが餌を待つためなら、おなかが満ちた時間は、歩いたり翼を広げたりする余裕があるのかもしれません。動く・動かないは、おなかのぐあいとも関係しているのかも。

野生で動かないハシビロコウを見られる場所は?

アフリカの湿地です。ウガンダのマバンバ湿地やマーチソン・フォールズ国立公園、ザンビアのバングウェウル湿地などが知られています。

野生のハシビロコウは、アフリカ中東部の湿地にだけすんでいます。国際自然保護連合(IUCN)によると、大人の数は世界で3,300〜5,300羽ほどと推定されています。

ウガンダには約150つがいがいると見積もられています。

首都カンパラの南西約35kmにあるマバンバ湿地は、2001年に重要野鳥生息地(IBA)、2006年にラムサール条約の湿地に選ばれました。300種以上の鳥がすむ場所です。それぞれの場所の行き方や見どころは、マバンバ湿地、マーチソン・フォールズ、バングウェウル湿地で紹介しています。

動かないハシビロコウを楽しむ見方は?

時間に余裕をもって、同じ場所で10分以上見てみることです。

じっとしているように見えても、よく見ると小さな動きがあります。

  • まばたきをする瞬間
  • 首のかしげ方や、目線の向き
  • 羽づくろいのしかた
  • 足の指の広げ方や、立ち位置の変え方

1羽ずつ、くせが違います。「動かない」と思って見ていると、ほんの少しの動きがとても特別に感じられます。

何羽もいる施設では、見分けながら見るのも楽しみです。上野動物園の4羽は、右足のリングの色と本数で見分けられます。くちばしの先の曲がり方や、まだら模様も1羽ずつ違います。

コウくん

動かないときこそ、じっくり観察するチャンスです。ガラスをたたいたり、大きな声で呼んだりしないでね。

写真に残すコツはハシビロコウの写真の撮り方、休むときの姿はハシビロコウの寝方、会える場所はハシビロコウに会える動物園で紹介しています。

出典

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